ケアマネージャーが知っておきたい高齢者と薬と副作用ナビ

生活の質と薬の影響

薬の副作用は軽いものが殆どですが、
高齢者の生活の食事、排泄、睡眠、運動機能、認知機能等、
様々な領域に影響を与えていることがあります。

 

副作用としてよくあるのは、口腔内の乾燥がありますが、
できの分泌量が減り口の中が乾くと味覚障害が起きて食欲低下につながります。
「砂を噛んでいるみたい」という人もるほどです。

 

ですが、高齢者に「口が渇いていませんか?」と聞いてもあまり意味がないので
「食欲はありますか?」、「食事はおいしく食べられていますか?」と、
生活の観点から薬の作用や副作用が、生活の質に影響を与えているかどうかを確認します。

 

つまり、症状から薬の副作用などを観察するのは、薬の作用を理解している医師や薬剤師なので、
ケアマネジャーは、生活の中での食事や排泄、睡眠の様子を聞き取り、
医師や薬剤師へその情報を提供することが重要です。

 

口の渇き以外にも、薬の副作用が生活に影響を与えることがあります。
「排泄」の領域では、便秘が多く見られます。

 

口の渇きや便秘は、薬の抗コリン作用と密接にかかわっています。
抗コリン作用とは、内臓などの機能をコントロールする自律神経のうち、
副交感神経の働きをさまたげるものです。
副交感神経の働きが妨げられることによって口渇になったり、
腸の動きが低下して便秘になるなどします。

 

ただ、便秘の原因は、薬の副作用だけによるものでなく、
病気や生活習慣など様々なことが要因となっていると考えられます。

 

ですから、食事の量や回数、内容、水分摂取量、運動量を確認し、
医師や薬剤師と相談しながら、便秘の原因は薬の副作用の可能性が高いのか、
生活改善を優先すべきなのかなど、次の対応を考えます。

 

また、抗コリン作用を持つ薬は、鼻水や抗アレルギー薬、抗うつ薬、抗不安薬などに幅広いので、
これらの薬が同時に複数処方されていることがあります。
用量が増えてもそうですが、同じ抗コリン作用を持つ薬の種類が増えると、
副作用が発現する確率が高くなります。
ですから、薬の種類が増えた後、食欲が急におちたと言う時には、
薬剤師などに相談するようにしましょう。

 

そして、高齢者の場合は、睡眠薬や抗不安薬が処方されていることが多いです。
睡眠薬の効果が持ち越され、日中ウトウトなってしまう事も少なくありませんし、
抗不安薬が聞きすぎて活動性が低下するなど、睡眠や運動機能などの生活面に影響が出る事もあります。

 

ふらつきがでて転倒し、その時点で初めて薬の副作用が見つかる事も多いです。
転倒があった場合は、ふらつくなどの症状があったのか、
どのような状況で転んだのかなどを確認することが重要です。

 

何度も転倒している人や、睡眠薬や抗不安薬が追加された人では、
転倒のリスクが高いので、注意が必要です。

 

薬に関する情報は、ご家族や介護チームと情報を共有することによって、
副作用などの早期発見をする事も可能になります。
薬剤師から情報提供がない場合は、ケアマネジャーから連絡をしてみましょう。

 

薬剤師は、患者さんや利用者さんの身体症状のほか、精神的問題が影響していることもあります。

 

薬の副作用についての観察は、色々な要素を総合的に判断することが必要で、
生活にどのような変化があったかという情報の収集は、ケアマネジャーの専門分野です。