ケアマネージャーが知っておきたい高齢者と薬と副作用ナビ

(1) せん妄

せん妄の症状

 

せん妄の特徴的な症状は、注意力が散漫になる、視線がふらつくなどです。
意識レベルが低下し、ぼんやりしたり、うとうとすることもあります。
妄想や幻視・幻聴もせん妄の症状の一つです。

 

せん妄になると、認知力も低下するので、認知症のように見えることもあります。
お酒によっているときのような状況をイメージすると分りやすいでしょう。
いつもとは様子が変わり、突然おかしなことを口走ったりします。
ですが、せん妄の場合は、しばらくするといつもの正常な状態に戻ります。
短時間のうちに状態が変化するのがせん妄の症状の特徴です。
分単位で症状が出現したり治まったりします。
このように急性の場合は、せん妄と考えて良いでしょう。

 

せん妄を引き起こす薬の例

 

せん妄を引き起こす薬の例は、吐き気止め、アレルギー薬などの抗ヒスタミン薬、
抗パーキンソン病薬、抗性精神病薬などです。

(2) 抑うつ・うつ状態

抑うつ・うつ状態の症状は、気分が沈み口数が減る、元気がない、眠れない、
食欲が落ちるなどです。
表情も乏しくなり、部屋に閉じこもるなど行動性も低下します。

 

高齢者の抑うつ・うつ状態では、自殺しようとしたり悲嘆にくれたりというような、
若い人のウツのような症状はあまり見られず、
何となく元気がない、ぼんやりしている、集中力が低下しているなどのはっきりしない症状や、
不眠や食事量の低下など、多様な原因が考えられる一般的な症状で現れることが多くあります。
そのため、ウツ症状と見分けにくい傾向がありますし、認知症の進行のようにも見えることがあります。

 

抑うつ・うつ状態を引き起こす薬の例

 

抑うつ・うつ状態を引き起こす薬の例は、
ステロイド(副腎皮質ホルモン製剤)、インターフェロなどです。

(3) 起立性低血圧

起立性低血圧は、急に立ち上がったときにめまいがするなど、
ふらつきや立ちくらみが起きる症状です。
転倒の原因になりやすい症状です。

 

起立性低血圧を引き起こす薬の例

 

起立性低血圧を引き起こしやすい薬の例としては、
降圧薬、利尿薬、抗うつ薬、向精神薬などがあります。

(4) パーキンソン症状(パーキンソンニズム)

パーキンソン症状(パーキンソンニズム)は、パーキンソン病のような症状を示します。
身体の筋肉が硬くなり、手が震えたり、動きが遅くなったりする他、
歩行が遅くなったり、歩幅が狭くなったり、小刻みに歩く(小股歩行)など特徴的な歩き方が見られます。

 

また、表情が乏しくなったり、口数が減ったりするという症状があり、
うつ病と見分けが付かないことがあります。

 

最も分りやすい症状としては、特徴的な歩き方です。
何日か前から歩き方がおかしいなどの症状が見られた場合は、
薬によるパーキンソン症状を疑います。

 

薬の副作用によるパーキンソン症状(パーキンソンニズム)は、
パーキンソン病と比べて、進行が早く、症状が身体の両側に現れることが多いという傾向があります。

 

パーキンソン症状(パーキンソンニズム)を引き起こす薬の例

 

パーキンソン症状(パーキンソンニズム)を引き起こす薬は、抗精神病薬、抗うつ薬、
消化性潰瘍治療薬などがあります。

(5) 偽膜性大腸炎(クロストリジウム・ディフィシル大腸炎)

偽膜性大腸炎(クロストリジウム・ディフィシル大腸炎)は、
抗菌薬の服用により、大腸の中の細菌バランスが崩れ、
クロストリジウム・ディフィシルという細菌が増えて炎症を起こすものです。

 

多くの場合は、抗菌薬を服用して1〜2週間ほど後に下痢や発熱、腹痛が現れます。
抗菌薬を服用した際に、下痢、発熱、腹痛の3症状がでたら要注意です。

 

そして、重症化することもありますし、周囲に移ることもあります。

 

偽膜性大腸炎(クロストリジウム・ディフィシル大腸炎)は、手洗いなどの感染防止策も必要です。

 

偽膜性大腸炎(クロストリジウム・ディフィシル大腸炎)を引き起こす薬の例

 

偽膜性大腸炎(クロストリジウム・ディフィシル大腸炎)を引き起こす薬の例は、抗菌薬です。

(6) 低血糖

低血糖になると、最初は、突然抑えがたい強い空腹感を感じるなどの症状がでます。
そして、冷や汗が出て寒気がしたり、動悸(心臓がドキドキする)したり、
手足が震えたり、力が入らないなどの症状が現れます。

 

低血糖が重症になると、意識を消失し、痙攣や昏睡などの状態に陥ります。

 

寒気や冷汗などの症状が一切なく、突然意識消失を起こすこともあります。

 

低血糖を引き起こす薬の例

 

低血糖を引き起こす薬の例は、糖尿病治療薬、抗不整脈薬などがあります。

 

 

このように、薬には様々な副作用があります。
転倒してしまったり、意識消失をするなど、危険な副作用がでることもあるので、
薬がかわった時などは特に注意深く、患者さん・利用者さんを観察することが大切です。